東京都キャップ&トレード、21年度はCO2排出33%減 電力低炭素化進む

掲載期間:2023-03-07 記事ソース:
東京都は3月2日、キャップ&トレード制度の第3計画期間(2020年度~2024年度)2年度目(2021年度)における削減実績をとりまとめ発表した。

対象事業所の合計CO2排出量は1111万トン、省エネ対策の進展と低炭素電力・熱の利用により、引き続き、基準排出量から33%削減となった。
太陽光架台

CO2排出量の削減の要因例としては、高効率機器・LED照明などへの更新、再エネの利用を挙げた。また一部事業所では、営業時間の回復、通信インフラの需要増などの影響によるCO2排出量の増加が見られた。


第3計画期間の削減義務率は27%又は25%
同制度は、年間のエネルギー使用量が原油換算で1,500キロリットル以上の都内大規模事業所に対して、CO2排出量の総量削減を義務付けるとともに、排出量取引によって他の事業所の削減量などを取得し、義務履行が可能な制度で、都は2010年度に開始した。

対象事業所は、オフィスビル・商業施設・官公庁・宿泊・病院・工場などで、対象数は約1,200施設に上る。

今回の結果によると、第3計画期間の削減義務率は、基準排出量比でオフィスビル等が27%、工場等が25%だった。なお基準排出量は、事業所が選択した2002年度から2007年度までのいずれか連続する3カ年度排出量の平均値(電気等の排出係数は第3期計画期間の値で算定)としている。

低炭素電力を使用した事業所は約14.0%に
都は、義務達成手段のひとつとして、都が認定するCO2排出係数の小さい供給事業者から電気または熱を調達した場合に、CO2削減分として認める仕組みを導入している。2021年度に低炭素電力を使用した事業所の割合は、2020度の約1.5%から約14.0%に増加した。

2021年度に低炭素電力・熱を選択した事業所は以下のとおり。

種別
低炭素認定
供給事業者数
仕組を活用した事業所
事業所数
削減量(合計)
低炭素電力
19事業者
175事業所
約305,891 t-CO2
低炭素熱
44事業者(区域)
178事業所
約41,145 t-CO2

各事業所は義務履行に向けて削減対策を計画・実施
対象事業所が実施・計画している対策による削減量(出所:東京都)
対象事業所が実施・計画している対策による削減量(出所:東京都)
対象事業所は、第3計画期間の義務履行に向け、新たな削減対策を計画・実施している。計画書に記載された主な削減対策は、「高効率照明及び省エネ制御の導入」(2,258件、削減量177,390トン)、「高効率熱源機器の導入」(380件、削減量152,858トン)、「外気冷房システムの導入」(228件、削減量23,232トン)など。2021年度は、10,500件の対策により10500万トンのCO2が削減されたと分析している。

77%が自らの削減対策で義務達成見込み
2021年度実績に基づく義務達成事業所割合の推計(出所:東京都)
2021年度実績に基づく義務達成事業所割合の推計(出所:東京都)
2021年度実績に基づく第3計画期間の義務履行について、自らの削減対策等により義務達成の見込みの事業所は77%、自らの削減対策等により義務達成が困難である見込みの事業所は23%となっている。

都は、第3計画期間においても、すべての事業所が義務履行できるよう、引き続き、対象事業所におけるCO2削減を促進していく考えだ。
第1・第2計画期間は全事業所が義務を達成
第1計画期間(2010年度~2014年度)の削減義務率は、オフィスビル等が8%、工場等が6%。5年間で約1400万トンのCO2を削減し、すべての対象事業所がCO2総量削減義務を達成している。

第2計画期間(2015年度~2019年度)の削減義務率は、オフィスビル等が17%、工場等が15%。すべての対象事業所がCO2総量削減義務を達成している。対象事業所の85%が自らの対策によって削減義務を達成し、残りの15%の対象事業所もクレジット等を活用して削減義務を履行した。

第4計画期間については現在、制度のあり方・方向性についての議論が進められている。
詳しい情報は太陽光架台のホームページをご覧下さい